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雨でも後半が速い!アムステルダムマラソンに学ぶ42.195kmの走り方

2026年10月18日のアムステルダムマラソン。雨の中、エチオピアのブゼ・ディリバ選手が2時間16分12秒で女子大会新記録を樹立しました。男子はレミ・ベルハヌ選手が2時間03分33秒で優勝し、大会記録までわずか3秒。注目したいのは、両者とも後半を前半より速く走るネガティブスプリットだったこと。世界トップランナーの走りから、市民ランナーにも役立つペース配分の考え方をチャッピーが解説します。

2026年10月18日。 オランダのアムステルダムで行われたマラソンで、注目したい結果が生まれました。 女子優勝は、エチオピアのブゼ・ディリバ選手。 2時間16分12秒。 女子大会新記録です。 男子優勝もエチオピアのレミ・ベルハヌ選手。 2時間03分33秒。 こちらは大会記録まで、わずか3秒。 しかも、当日のコンディションは雨。 今回チャッピーが注目したのは、優勝タイムだけではありません。 男女の優勝者がともに、 「後半を前半より速く走った」 という点です。 ■ 女子は40秒の大会記録更新! まず女子のブゼ・ディリバ選手。 従来の大会記録は、2024年にヤレムゼルフ・イェフアラウ選手が記録した2時間16分52秒。 ディリバ選手は、それを40秒更新しました。 しかも本人のこれまでの自己ベストは、 2時間19分34秒。 つまり今回は、自己ベストを3分22秒も縮めたことになります。 世界トップレベルでも、これだけの自己記録更新は大きなニュースです。 ■ 注目は後半の走り 女子の先頭集団は、ハーフ地点を1時間08分34秒で通過しました。 ディリバ選手の最終タイムは、 2時間16分12秒。 この数字から後半のタイムを計算すると、 前半 1時間08分34秒 後半 1時間07分38秒 なんと後半のほうが56秒速いのです。 しかも雨の中。 さらに30km以降も集団の争いが続きました。 終盤にディリバ選手が抜け出し、そのまま優勝。 最初から飛ばすのではなく、後半に速く走れる力を残していた。 これが今回の大きなポイントです。 ■ 男子も大会記録まであと3秒 男子はレミ・ベルハヌ選手が優勝。 タイムは2時間03分33秒。 大会記録は2時間03分30秒。 わずか3秒届きませんでした。 フルマラソン42.195kmで3秒差。 本当に紙一重です。 ベルハヌ選手は2016年のボストンマラソン優勝者。 経験豊富な選手が、2026年のアムステルダムで再び大きな勝利を手にしました。 男子レースも前半は比較的落ち着いた展開。 後半にペースが上がり、40km付近ではベルハヌ選手とケニアのニコラス・キプコリル選手が競り合いました。 最後はベルハヌ選手が抜け出して優勝。 こちらも後半に強さを発揮したレースでした。 ■ ネガティブスプリットって何? ここでランニング用語をひとつ紹介します。 「ネガティブスプリット」。 これは、レースの後半を前半より速く走ることです。 例えばフルマラソンなら、 前半 1時間50分 後半 1時間48分 合計 3時間38分 という走り方。 逆に、 前半 1時間45分 後半 1時間53分 なら、後半にペースを落とした走り方です。 ちなみに、後半が遅くなる走り方はポジティブスプリットと呼ばれます。 ■ なぜ後半を速く走るといいの? では、なぜネガティブスプリットが注目されるのでしょうか。 理由のひとつは、前半の無駄な消耗を抑えやすいことです。 マラソンは42.195km。 スタート直後は誰でも元気です。 脚も軽い。 呼吸も楽。 周りのランナーも勢いよく走っています。 そんなとき、 「今日は調子がいい!」 と予定より速く走ってしまう。 でも、その数秒の積み重ねが後半に響くことがあります。 前半で使いすぎたエネルギーや筋肉の負担は、終盤に影響する可能性があります。 だからこそ、最初から全力に近い走りをするより、最後まで維持できるペースを選ぶことが重要なのです。 ■ ただし、ネガティブスプリットが絶対に正解ではない ここは大切です。 後半を速く走れば、必ず最高の記録が出るというわけではありません。 コースの高低差。 風向き。 気温。 レース展開。 目標タイム。 選手の走力。 こうした条件によって、適切なペース配分は変わります。 また、前半を遅くしすぎてしまうと、後半で取り返すことが難しくなります。 大切なのは、 「前半を遅く走ること」 そのものではなく、 「後半に大きく失速しないように配分すること」。 これがチャッピーの考えるポイントです。 ■ 世界トップと市民ランナーの違い 今回のアムステルダムでは、トップ選手が後半に大きくペースを上げました。 ただし、市民ランナーが同じような加速をする必要はありません。 トップ選手は、 高いスピード持久力。 レース展開への対応力。 長期間のトレーニング。 補給戦略。 そうした土台を持っています。 市民ランナーの場合は、 前半を無理なく走り、 中盤でリズムを維持し、 後半の失速をできるだけ小さくする。 この考え方だけでも、十分参考になります。 ■ サブ3.5ならどう考える? 例えばフルマラソンで3時間30分切りを目指す場合。 必要な平均ペースは、およそ1km4分58秒です。 仮に、 前半 1時間45分00秒 後半 1時間44分00秒 で走ることができれば、 合計 3時間29分00秒。 サブ3.5達成です。 もちろん、この配分がすべてのランナーに最適というわけではありません。 でも前半から大きく飛ばすのではなく、後半まで余力を残せるか考えることは、とても大切です。 ■ 先日の「30kmの壁」ともつながる話 Rings Journalでは先日、 「マラソン30kmの壁は本当に存在する?」 というテーマを取り上げました。 30kmの壁は、突然現れる魔法の壁ではありません。 序盤のペース。 エネルギー不足。 筋肉の疲労。 暑さ。 水分や補給。 いろいろな要因が積み重なって、後半の失速につながることがあります。 今回のアムステルダムのレースは、その逆の例として興味深いものです。 後半に強く走るためには、それまでの距離をどう走ってきたかが大切。 まさに、そう感じさせる展開でした。 ■ チャッピーが一番注目したところ 今回チャッピーが一番気になったのは、 「雨なのに速かった」 ということだけではありません。 「雨の中でも後半に速く走れる状態を保っていた」 ということです。 マラソンは前半の20kmだけで決まる競技ではありません。 30kmを過ぎてから。 35kmを過ぎてから。 そして最後の2.195km。 そこまで含めて42.195kmです。 世界トップのレースであっても、市民ランナーのレースであっても、 前半の走り方が後半に影響する。 その基本は共通していると思います。 ■ 次のマラソンで試してみたいこと 今回のニュースから、チャッピーが市民ランナーに伝えたいのは3つです。 1. スタート直後の速すぎるペースに注意する。 2. 前半の余裕を「まだ速く走れるから上げよう」ではなく、「後半のために残そう」と考える。 3. 30km以降の走りを含めて、自分のレースを振り返る。 もちろん、補給やトレーニングも大切です。 ネガティブスプリットは魔法ではありません。 でも、42.195km全体を考えるきっかけにはなります。 ■ 記録はゴールだけでなく、途中にもある Runner’s Ringsは、走った道を年輪のように残すアプリです。 ランニングの記録は、ゴールタイムだけではありません。 どこで苦しくなったのか。 どこまで余裕があったのか。 どんな道を走ったのか。 どんな景色があったのか。 そうした一つひとつが、走った人生の一部だと思っています。 今回のアムステルダムマラソンから学べることも、単なる速さではありません。 42.195kmをどう組み立てるか。 そこに、マラソンの奥深さがあります。 ■ 参考資料 World Athletics Diriba breaks course record, Berhanu threatens mark at Amsterdam Marathon 2026年10月18日 https://worldathletics.org/news/report/amsterdam-marathon-2026-diriba-berhanu TCS Amsterdam Marathon 公式発表 https://www.tcsamsterdammarathon.nl/buze-diriba-loopt-parcoursrecord-bij-tcs-amsterdam-marathon Runner’s Rings – Rings Journal 速く走ることだけじゃない。 最後まで自分のペースを考えて走ること。 その積み重ねも、走る楽しさになる。
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